No.20 (2006.8.27)

        「8月のバリは火葬式で熱い!」
        






【お知らせ】

Rindu House BALI衣裳・・・バリ婚礼衣裳体験、更新しました。
http://www.rindu-house.com/costume-taiken.htm
お時間がありましたら、また見て下さい。

ご協力頂いた西丸ご夫妻、ご結婚おめでとう御座います。
末永くお幸せで有ります様に、
Rindu House一同心から祈っております。


バリ・ヒンドゥー教では、人間の成長過程において幾つもの通過儀礼を行います。
人生の節目ごとに訪れる危険から身を守って、それを乗り越えるのに必要な
霊的パワーを授かる為に行われるそうです。
それは、生まれる前から始まり(お母さんのお腹にいる6ヶ月目から)死ぬ時まで
決められた儀式が行われます。
日本でも同じように、大人になってからの大きな儀式は、3つ。  
成人式・結婚式・葬式

この人生の終焉を締めくくるお葬式。
この儀式がバリ島では、この8月に集中して行われます。
だから8月は、火葬式=Ngaben(ガベン)のシーズンでもあります。
各地で行われるのですが今年は、バトゥブランで王族の子孫で裕福な家系が
執り行うと言うので、行ってきました。

バリのお葬式は、暗いイメージは全くなく、むしろお祭りです。と言うのも、
バリ島では、葬儀は人生の終わりの儀式ではなく、「死は再生への旅立ち」と
考えられているので、出来るだけ派手に立派に執り行わなければいけません。
極彩色のバテ(遺体を火葬広場まで運ぶ霊柩塔)
黒のランブ(牛の形をした柩)   宇宙のシンボル(傘)   
そして、鳴り響くガムラン音楽   と、派手な演出で旅立ちを祝うのです。
今回は、それに加わり火葬式を執り行う家系のシンボルらしく
珍しいナーガ(龍)の柩も加わりました。
その創りモノ全てを、1ヶ月以上にも亘って村の男たちが総出で
自分たちで創って準備をします。

火葬式当日は、まず最初に死者の家で儀礼が執り行われます。
そして、その遺体を火葬広場まで運ぶ為に霊柩塔バテに運ばれます。
今回は、王家の血を引くとあってバテも10mは優に超える大きな梯子状態です。
その儀式を執り行う為に、重厚な衣装に身を包みお供の伝道者に守られて
プダンダ(高僧)が現れます。
その儀式が終わると、一行はいよいよ火葬広場へ出発です。

黒い牛の創りモノの上には、死者の孫が跨りまさにロデオ状態!
と、突然けたたましいガムランの音色で、茹だる様な暑さの中での人々の
散漫となった気を、一瞬にして緊張感溢れる場として変化させるのです。
そのランブを、村の男たち20〜30人ぐらいで担ぎ右に左に動き揺さぶり
勢いの良いところを周りに見せ付けます。
それに続いて親族の女達が、お供え物などをそれぞれ一つずつ頭の上に載せ
ぞろぞろと1列に並んで従います。
そして、大きな梯子のバテが続きそれを担ぐ男たちの熱気が、
その空間を取り巻く温度をよりいっそう上昇させます。
その熱さを沈めるかのように、後ろから消防車が登場し太いホースから
まるで、聖水を振りまくように容赦なく浴びせ掛けます。
周りの観衆もそれに続くのですが、同じようにずぶ濡れ状態です。
火葬場に着くと、やがて火葬による再生への儀式のクライマックスが訪れます。

この一連の儀式を長々とお昼前から夕方近くまで、暑い炎天下の中で
行われるのでもうクタクタで、お腹もペコペコで、とうとう我慢できずに不謹慎にも
今年はワルンで、サテ・カンビン(羊の串焼き)を食べながらの
クライマックス観賞となりました。 ^0^

火葬後は、僧侶に死者の霊を浄化してもらった後、海や川に向かい
そこで骨を流します。そうする事で、
霊は天に昇りやがて子孫に生まれ変わってくると信じられています。
つまりバリ・ヒンドゥーでは、火葬とは穢れたものから清浄なものへと
霊を変化させる媒介の役割を果たしているのです。

日本では、贅を尽くした結婚式が人生最大のセレモニーとなっていますが
ここバリの世界観では、善と悪・生と死は共存するものであり
死があるから人生は輝いている、というポジティブな死生観によって
葬儀が人生最大のセレモニーとなっているのです。

8月のバリの空気は、そんな浄化された輝かしい人生へ旅立つ霊で
いっぱいになるのです。


PS* 前回お伝えしましたRindu Bali Life チームによる凧揚げ国際大会!
   その結果及びサヌール大会も含めた健闘ぶりを、1ページで特集を
   組みました。お時間が有りましたら、また覗いて見て下さい。
http://www.rindu-house.com/layangan2006.htm

   またジャンベを担いで、手が痛くなるまで叩いて大会を盛り上げてくれた
   ウルシ君にこの場をかりて、感謝します。どうも有り難う。^0^






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